「地積規模の大きな宅地の評価」(評価通達20-2)が新設され、

平成30年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得する宅地で、一定の要件を満たすものは、「地積規模の大きな宅地の評価」の定めを適用して評価。

これに伴い、広大地の評価(改正前の評価通達24-4)は廃止に。

1 地積規模の大きな宅地とは

地積規模の大きな宅地とは、三大都市圏においては500㎡以上の地積の宅地、三大都市圏以外の地域においては1,000㎡以上の地積の宅地をいいます。

次の(1)から(4)のいずれかに該当する宅地は、地積規模の大きな宅地から除かれます。

(1) 市街化調整区域(都市計画法第34条第10号又は第11号の規定に基づき宅地分譲に係る同法第4条第12項に規定する開発行為を行うことができる区域を除きます)に所在する宅地

(2) 都市計画法の用途地域が工業専用地域に指定されている地域に所在する宅地

(3) 指定容積率が400%(東京都の特別区においては300%)以上の地域に所在する宅地

(4) 評価通達22-2に定める大規模工場用地

2 「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地

「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地は、路線価地域に所在するものについては、地積規模の大きな宅地のうち、普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区に所在するものとなります。

また、倍率地域に所在するものについては、地積規模の大きな宅地に該当する宅地であれば対象となります。

3 評価方法

「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地は、路線価に、奥行価格補正率や不整形地補正率などの各種画地補正率のほか、規模格差補正率を乗じて求めた価額に、その宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価します。

評価額=路線価×奥行価格補正率×不整形地補正率などの各種画地補正率
           ×規模格差補正率×地積(㎡)

(注)1 倍率地域に所在する「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地については、次に掲げる①の価額と②の価額のいずれか低い価額により評価します。

① その宅地の固定資産税評価額に倍率を乗じて計算した価額

② その宅地が標準的な間口距離及び奥行距離を有する宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額に、普通住宅地区の奥行価格補正率や不整形地補正率などの各種画地補正率のほか、規模格差補正率を乗じて求めた価額に、その宅地の地積を乗じて計算した価額

(注)2 市街地農地等(市街地農地、市街地周辺農地、市街地山林及び市街地原野をいいます)については、その市街地農地等が宅地であるとした場合に「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地に該当するときは、「その農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額」について「地積規模の大きな宅地の評価」を適用して評価します。

4 規模格差補正率

規模格差補正率は、次の算式により計算します(小数点以下第2位未満は切り捨てます)。

$$\large規模格差補正率=\frac{Ⓐ \timesⒷ+Ⓒ}{地積規模の大きな宅地の地積(Ⓐ )}\times0.8$$

上記算式中の「Ⓑ」及び「Ⓒ」は、地積規模の大きな宅地の所在する地域に応じて、それぞれ次に掲げる表のとおりです。

(1)三大都市圏に所在する宅地

 
  500㎡以上
1,000㎡未満
0.95 25
1,000㎡以上
3,000㎡未満
0.90 75
3,000㎡以上
5,000㎡未満
0.85 225
5,000㎡以上 0.80 475

(2)三大都市圏以外の地域に所在する宅地

 
1,000㎡以上
3,000㎡未満
0.90 100
3,000㎡以上
5,000㎡未満
0.85 250
5,000㎡以上 0.80 500

 

熊本市(三大都市圏以外の地域に所在する宅地)の 

規模格差補正率は

地積 1,000㎡の場合
    (1,000×0.90+100)÷1,000×0.8=0.80 で     20%の評価減    

地積 3,000㎡の場合
    (3,000×0.85+250)÷3,000×0.8=0.74  で    26%の評価減     

地積 5,000㎡の場合
      (5,000×0.80+500)÷5,000×0.8=0.72  で        28%の評価減

 

タックスアンサー4609 地積の大きな宅地の評価

地積規模の大きな宅地の評価-計算例①(一般的な宅地の場合)

地積規模の大きな宅地の評価-計算例⑤(倍率地域に所在する宅地の場合)

「地積規模の大きな宅地の評価」が新設されました